■ 少年の記憶──07(4DAY)
「うわっ!?つめてっっ!!!」
大きな雨粒が容赦なく降り注ぎ頬を叩くという最悪の目覚めから始まる4日目の朝。
晴れていたと思えばすぐに雲行きが怪しくなる。島の天気は気まぐれすぎるぞ……。
野宿セットを慌てて片し──あれ?覚えのない水が置いてある。
きょろきょろ。周りにはすでに誰もいないようだ。
でも、またおばけだな。きっとそうだ。
「さんきゅー助かるぜ!」
虚空に向かって謝意を述べ、こっちも渡したいものがあったのにな~とぼやきながら、ひとまず拠点へと避難する。
拠点でおばけとミケに書置きをしてから罠の確認に行くことにした。
二人とも気づいてくれるといいな。お肉だぞ、お肉。
現状ではだいぶ贅沢品だ。
岩場の罠にもいい感じに魚がかかっていた。
雨の日に海に潜るのは危ないから、今日はこれで十分賄えるぞ。
──あ、"瓶"だ。
「……へへ」
少年にとってはただの瓶ではないそれの中身を確認し、少しばかり照れた。
ちょっとしたお遊びをしてみたところ、きちんと返しがきたことが嬉しかったようだ。
まあ、さらに疑問が増えることになるのだが。
雨に濡れながら動き回るのは体力が減っていく。寒いのは嫌なんだよなー。
無理に探索を続ける理由もないから今日は大人しくしていようか、と浜を通り森の中へと向かう途中。
ミコが雨の中、無邪気にはしゃいでいるような姿を見かけた。
昼に見かけるのは珍しい。夜行性だと自ら言っていたのに。
一体何をしてるんだ?
彼女の言動は理解が追い付かないことが多々ある。
『風邪ひくぞー』と一声かけようかと思ったけど、やめた。
いじわるとかじゃなくて、楽しそうにしているように見えたし邪魔しちゃ悪いなと。
誰も咎めることのない今この時なんだから、雨の中だろうと嵐の中だろうと好きにしてもいいよな。って思ったから。
今度また見かけたらオレも一緒にはしゃいでみるか。