■ ノートの切れ端3
お散歩を、してきた。
……ひよりさんと一緒に。
誰かと一緒にいるのは久しぶりで、
誰かに声を届けるのは久しぶりで、
とても、とても緊張した。
もしかしたら、とは思ってた。
けれど、ひよりさんは鴉を嫌いじゃないらしい。
鴉は凶兆の鳥。
鴉は不幸の運び手。
鴉は汚らわしい歌声の主。
ずっと、そういわれてきた。
ずっと、そうだと諦めてた。
……なのに。
一緒に幸せになろう って。
誰かと一緒に居れる、なんて思ったことなかった。
誰とも幸せを目指せる、なんて考えたことなかった。
びっくりして、うれしくて。
よくわからなくなっちゃった。
そんな私をひよりさんは包んでくれた。
……もし、もしも。
おかあさん、がいるとしたらこんななのかな……?
拠点に帰るとき、直接手を触られて。
手を繋いで、緊張した。
ひよりさんイヤだったりしなかった、かな?
正直、まだこわいことはたくさんある。
姿を見せるのも、誰かと話すのも、目を合わせるのも。
でも、少しずつ……できていったらいいな、って。思う。
……この島の他の方たちも、もしかしたら……なんていうのは、夢を見すぎ、かな。