Eno.420 レイ

■ 無題

ごはんや飲み物が豊富にあるわけではないが、それなりに……贅沢は言わない程度に、口に出来るようになって。
ほんの少し周りを見る余裕が出来てきた。

この島は、ある程度の大きさはあるけれど、歩いて周るのに不自由はない程度の島……かもしれないこと(今のところ、危険な生物は見ていないという意味で)。
海沿いには色々なモノがたくさん流れ着いていること(マネキン……?)。
森の中では見たことのないきのみが取れること(たまに美味しくないのがある)。

オトナの人をちらほらと見かけること……
その大半が、"斧"や"銛"を持ってうろついている、ということ。

小さく震える。

よく繁みの中で身を隠している事も相まって、まるで"映画に出てくる"ような"怖い人"から、身を隠しているような気持ちにもなってしまった。
もちろん"そういう人たちばかりではない"とは、思うのだけれど。


寝床の傍に並べたアヒルのおもちゃを見ながら、また身体を休める。

「おうちに、帰れるのかな……。」


そんなことを、思いながら。