Eno.86 緒志 一字

■ モエツキ島での記録その3

4日目午前・午後
今日は午前を使い、水蜘蛛丸(いかだ)を作っていた
丸太にタイヤ、布材を帆にし さらに水などで使わなくなったプラ材を利用し
緒志一字オリジナルのすげーのができたと思う。

少しでも事態が好転すればいいとも思っていた
例えば新しい島が見つかる、例えば近くを通ってる船を見つけられる
そんなことも少しは考えていた。

もちろんそんな考えは甘い幻想だとわかっていた
いかだひとつで海に出る それがどんな危険なことかも理解していたつもりだ
死ぬ可能性もあった 仮に生きてたとしてももうこの島に戻れない可能性だってあった

それでも。
危ないことだとわかっていても。
脱出への希望が少しでもあったのなら、いずれは誰かがやらなくちゃいけなかっただろう

そんなことみんなにさせられるわけがない
なら有無を言わさず俺がさっさとやってしまったほうがいい


なーんて俺のキャラじゃないし、結果も恥ずかしいからみんなには言わないけどな

まぁ散々だった。波が荒れてきて、そのまま海に落ちて運よく元の島に流れ着いた
ただ成果もなく俺の身体がボロボロになっただけだった
よかったことって言ったらこんなことになった俺の真似するやつはいないだろってくらいだ
はっはっはっは

身体を休めてまた脱出の方法を模索していかないとな