Eno.194 ルガD

■ 救助の可能性

「いつかは決断しなければならないことです」



ナンナさんが木材を集めているのは、どうやらイカダを作る為のようでした。
それはかなり無謀な選択肢ではあるのですが、
しかしながら馬鹿にすることができない状況でもあります。

「まるでTVの演出のような話ですが」



最初に流れ着いたボトルメッセージ。
この話が本当なら、この島はそう遠くない未来に沈んでしまいます。
淡水源や農耕の跡がないのも、
この島が持続的な生活に不適な環境だからと考えれば説明がつきます。

「ハッピーエンドなんて約束しちゃいましたが」



白雨さんが仰っていた懸念もあります。
そもそも、チックさんやオルーナジュさんのように、
普通の人間とは明らかに異なる人種がいらっしゃる時点で気づくべきでしたが、
この海域は私達が知る世界のものだけ……とは限らないと考えるのが自然です。

であるならば、例え脱出の目処が立ったとしても
元の世界に帰れる保証はどこにもないわけです。

「気が付けば随分と絶望的な状況ですね」



しかしそれでも島は活気に満ち溢れています。
誰もが、変わろうとしています。生き延びようとしています。

「ここから逆転すれば数字が獲れるということですね!」



その成否にかかわらず、せめてこのカメラだけは遺したいところですね。
なんて、こんなこと言ったらユウリさんに怒られてしまいますね!