Eno.290 カスタ

■ 島でのできごと4

・四日目のこと

拠点で寝ている時に島に逼迫した雰囲気の声が響いた。

「はっ……むにゃむにゃ…」


一瞬目が覚めるも薪割りの疲れを癒すため再びごろ寝する女。島で何が起きていようと、気付くことも無く。


余裕が出てきたため島をうろつき探索しつつ、砂浜の缶詰の神殿に作ったオブジェにクッションを追加し、大量の物資を拾う。

「この服作った時のこと思い出すな~」


針を作ったことで繕い物ができるようになった女。今着ている魔女風の服は使用人の制服を改造したものである。


物資を物色する際、いかだを引きずり海に漕ぎ出す女性を目撃する。何度か森で見かけていたが、海へと向かうその姿は初めて見る晴れやかな笑顔だった。

「っしゃ! サメは捌いてから焼けばいいのか!」


静かな砂浜で黙々と食材を焼く女。波打ち際からはずっと波の音しかしない。だから、振り向かず、気付かない。そこに何が流れ着いていたとしても。


砂浜で作業をしている時に、どこからかか響く大声を聞く。

「あすてりあーん…なんだろう。呪文かな?」


そんなことを思いながら温かい食糧を抱えて、夜だからかいつもより冷えた砂浜から拠点に帰って行った。