Eno.433 若葉博士

■ 記録013

私たちは、安定した生活を作り上げた。

余裕ある生活から、巨大石像を創り出した。


油断していたわけではないが、何でも成功する気がしていたのは確かだ。


砂浜に、金髪のエルフの女性が打ち上げられていた……バラバラになったイカダの残骸と共に。


海は……いや、この島は……私たちを出すまいとしているのだろうか?



かすかに息のあった彼女を、皆が慌てて介抱する。

……私はそこに、呆然と立ち尽くしていた。



トボトボと岩場に行き、一人で落ち込む。

「きっと何とかなる。みんなが助かる、みんなを助ける。」その考えがいかに傲慢だったか……。

この異常性の中に居て、自分がどれだけ無力なのかを突きつけられた気分だ。


そんな時、救いの声がした。
「なーに難しい顔して考えとるん?博士ぇ?」


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彼女は私に、クソデカブラックバスのクソデカレモン漬け超絶煮付け炙りを振舞ってくれた。

ふふっ、クソデカブラックバスのクソデカレモン漬け超絶煮付け炙り

それもまた、私に何かを突きつける巨大な存在だった。


この島をすぐに出れなかったとしても、良いじゃないか。

こんな美味いものを食わせてもらってもらっては、「出なきゃならない」という考えも柔らかくなるというものだ。

良いじゃないか、長い時間をかけて出る方法を見つければそれで。