■ 何でもない日
昨日は昼間から岩場に顔を出して、島の皆と平和に過ごした。
呪物じみた石像を建てるだとか、騒いで悪霊を祓うだとか……
のんびりと時間が経過するのと共に、
次々と愉快な話題が場に飛び交っていた。
けれど、馬鹿話の合間に
やっぱり寂しさを感じる瞬間はやって来る。
もう何日かすれば、この島は潮の満ち引きによって沈んでしまう。
お別れ、という言葉を聴いて、
僅かに胸がチクリと痛むのは気のせいじゃなかった。
きっと何とかなるのだと、漠然と祈るだけでは駄目かもしれない……
けれど、今はもう少しだけ。
この絶望的で不安定で、それでいて大切な日常を信じていたいと思った。
「ヘイッ」
ブンッ
生まれて初めて、素手で粘土を投げた。