■ 5日目
砂浜に文字が書かれていた。
「お元気で」なんて文章で締めくくられていたそれは、
例の人物が書いたものと見て間違いなさそうだった。
そのひとは差し入れをずっと続けていたらしい。
おそらくまともな飲み食いもせず、僕たちに資源を渡していたのだろう。
その結果、どうなったのか……想像するのは容易い。
僕はずっと戦場に居たから、それくらいは慣れてるんだけど。
「……気分の良いものではないな。」
結局その人物と話をすることは出来なかった。
顔も、声も、目的が何だったのかも、わからないまま。
……ありがとうの一言も言えなかった。
しばらく拠点に寝転がって、ぼんやり考え事をしていた。
そしたら、お嬢がしんみりした空気を破壊していった。
空気読めよって思ったし、緊張感がなくて正直ムカつくんだけど。
こんな人でも、死んでほしくない。
一緒に生きて帰りたい……なんて思ってしまう自分が居る。
「……はあ、僕もずいぶん甘くなったなぁ。」
これからは誰も欠けずに、ここを脱出したいな。
だから、僕は僕に出来ることを頑張っていかないと。
追い出されたので今日は砂浜で寝ることにした。
最悪すぎる。おやすみ。