Eno.42 歌代 あすか

■ 5日目

砂浜に文字が書かれていた。
「お元気で」なんて文章で締めくくられていたそれは、
例の人物が書いたものと見て間違いなさそうだった。

そのひとは差し入れをずっと続けていたらしい。
おそらくまともな飲み食いもせず、僕たちに資源を渡していたのだろう。
その結果、どうなったのか……想像するのは容易い。

僕はずっと戦場に居たから、それくらいは慣れてるんだけど。

「……気分の良いものではないな。」


結局その人物と話をすることは出来なかった。
顔も、声も、目的が何だったのかも、わからないまま。
……ありがとうの一言も言えなかった。



しばらく拠点に寝転がって、ぼんやり考え事をしていた。

そしたら、お嬢がしんみりした空気を破壊していった。
空気読めよって思ったし、緊張感がなくて正直ムカつくんだけど。

こんな人でも、死んでほしくない。
一緒に生きて帰りたい……なんて思ってしまう自分が居る。

「……はあ、僕もずいぶん甘くなったなぁ。」


これからは誰も欠けずに、ここを脱出したいな。
だから、僕は僕に出来ることを頑張っていかないと。



追い出されたので今日は砂浜で寝ることにした。
最悪すぎる。おやすみ。