Eno.18 金南良アルワ

■ 命と、心と

【1】
罠にかかっていたのは動物だったの。
お肉にしてもらったわ。
教えてもらったの、罠の作り方。

【2】
びっくりしちゃった。動物のお肉はああやってできるのね。
冷たく、動かなくして、それでも食べないと。
美味しかった……。
ディレクターさんは無理に慣れなくていいと言ってくれたけど、
その時は必死に、向き合わなきゃって思ったの。
だって、みんなの命のために必要な命だから。

【3】
向き合ったつもりだけどダメだった。
猪に、ウサギは大丈夫だったけど。

ふわふわして綺麗な声の小鳥はどうしてもできなかったの。
逃がしちゃった、この一食で誰かが飢えるかもしれないのに……。

【4】
魚は平気だった、猪やウサギは受け入れた。
けど、鳥はダメみたい。私の友達が大きな翼をもっているから。
抱きしめるとあたたかくて、心の底から勇気が湧いてくるから。

ダメならそれでいいって、言ってくれたの。
(少なくとも、もっともっと困るまでは、ね……)

誰にだって優先順位はあって、どうしても、守らないといけない気持ちはあるの。

わがままでいいのね。
足手まといな自分が嫌で、ずっと遠ざけていたの。
気持ちに蓋をしていたの。

でも心はここにあるから、支え合って、守るの。

みんなの命と心も守りたいって思ったわ。これもわがままかしら?