Eno.47 冬月舞

■ 新しいメモ(5)

島に来る前のこと、考えてた。

ワンちゃんのこと、いろいろ知ったじゃん?
きっと高齢だったおばあちゃん。本当に、滅多なこと言うものじゃないと思って、言わなかったけれど、
おばあちゃんは多分、もうこの世にはいないんじゃないかって、思っちゃったの。

あんこ。

あんこが、ワンちゃんの、シリウスの、最初のお名前だったんだね。
きっと大事にされてたんだね。分かるよ、分かる。あんなに人懐っこくて、頑張り屋さんで……愛されてなければ、あんなに賢く優しく育たない。


ねえ、ワンちゃんはあんこなのかも知れないけど、きっとシリウスでもあるんだよ。
だって、リーちんも、はっくんも、くっしーも、他の皆だって、ワンちゃんあんなに大事にしてさ、こうして仲間として一緒に生き抜いてる。
ウチらの絆も、負けてないよね。



ああ、そうそう。
くっしーの語る世界は、ウチの暮らす世界と合致してた。
多分同じ出身なんだろうなって感じ。
もちろん、会ったことなんてないし、接点なんて1ミリもないだろうけどね。


あとは……誰かがワンピースをくれた。
誰かが、っていうのは、手渡しじゃなくて、ウチの荷物んところに放り込んであったから。
今度着てみようと思う。この島に来て、ファッション楽しむ余地なんてほとんどなかったからね。
〝あれ〟やると、はっくんが怒るしね。


まあとにかく、誰か知らないけれど素敵な贈り物さんきゅーね!