Eno.179 チック

■ 4日目

段々と、ここでの生活にも慣れてきた。

起きたら自分の役割をこなして、みんなと物を譲り合って、お話して、眠って。
贅沢はできないけれど、生きている。

今いるこの島は、あと数日もしたら沈むかもしれない。
怖いのは確かだけれど、生きている。


遠くから聞こえてくる声が、今日はなんだか賑やかで。

明日が少し、楽しみなんだ。



――――――――――――
‐今日のメモ‐


・ケイスケさん

砂浜に行ったらボロボロの状態で倒れてて……慌てて声を掛けたら、なんとか無事だった。よかった……。
どうやらいかだに乗って、この島の外を確かめようとしたらしい。でも、失敗しちゃって……。
だけど、ケイスケさんのおかげで、この島の周りに島がないことや、いかだでの脱出は危ないことを確認できた。
今はつらい現実だけど、きっといつか、穏やかで綺麗な水平線を見られる日が来るよね。


・メモリーさん

ケイスケさんが流れ着いた砂浜に一緒に居合わせた。
メモリーさんが言うには、今の時期に海へ出るのはそもそも難しいらしい。
海の事にも詳しいんだ!って思ったら、実はこの島へは調査で来ていたらしい。この島の事を前もって調べてたから詳しいんだね……!
焼きたてのこんがり肉を交換してもらった!久しぶりのお腹いっぱいのごはん、おいしかったぁ……!


・ヤヒロさん

メモリーさんと同じく、砂浜に居合わせたひと。
サメが沢山いる、というか、ほとんどサメな場所にいたらしい。怖いよぉ。
もしかしたら、ここは私たちが元いた世界とは違うのかも。そして、その世界同士も。
だとすると、もし帰れても……ううん、それは置いておこう。
私の羽を、綺麗ってすごく褒めてくれてたけど、天使は流石に言い過ぎだよ……!?


・アルワさん

どうやら動物のお肉をどうやって食べるのか、元々知らなかったみたい。
私は狩りをするハーピーの人たちを見てきたから、全く知らないってわけじゃなかった。
でも、自分で狩ったことがあるわけでも無いから、抵抗がある気持ちはわかる。
……できないことは、他の人に頼ってみても、きっと大丈夫。
お互いの生き方で補い合って、自分を持って。……それでもいいんだよ、きっと。



ギリギリまで動くのはほどほどにって、アルワさんに釘を刺されちゃった。
……確かに、最近気持ちが前に行き過ぎて、自分のことを客観視できてなかったのかも。

今日は余裕をもって活動を終わらせた。……私も、ゆっくり休まないとね!