Eno.238 シオマネキ

■ 重要なお知らせ

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――――遭難4日目、早朝

遭難者が寝静まった頃、シオマネキは大きな人こと巨体くんの元へ訪れた

(大きいからどこにいてもすぐに見つかるねぇ
……じゃなくて)


いつもの頼りなさげな表情とは一転して、珍しく真剣な面持ちで彼に話し掛けた

大きな人、いつも心配かけちゃってごめんね!」


初日から飛ばしすぎて バテていたところを気遣ってくれたり 助言をくれたことに感謝の意を伝え本題に入る

「ごめんついでにお願いがあって…

 実はね、私、隠れてイカダを作ってたの
 それで体力を使っちゃったんだよね…ははは

「みんなで脱出しよう!
 って意気込んでいたんだけど、
 私、体力不足だからさ…
 大きな人にイカダをお任せしたいなって」


「勿論私も頑張るんだけど…
 何があるかわからないからさ

 みんなのことを守ってあげてね」


伝えたいことは言えた
それだけで満足だった

けれど彼からの返事は意外なもので
「頑張りすぎてないか?ペースを落とそう」と、諭されてしまった
彼のことだから明るく任せとけ!と快諾してもらえると思っていたのに

「…誰かに叱られるのって久しぶりかも

 そうね、そうね
 行き急ぐのもよくないね

 心配してくれてありがと
 これで安心して倒れることが出来るよ」


言われなくてもみんなを守る!と心強い言葉を聞いて、やっぱりこの人に任せてよかった…と肩の荷をおろした

その後、今回は特に頑張っていたわけではなくて、毒キノコを食べて衰弱してただけだということを伝えたり、何かあること前提で話をしちゃ駄目だと励まされたり、コントのようなやり取りをしたり しなかったりした

(キミが真っ直ぐな人でよかった…
イカダが脱出に使えるか わからないけど
何かの役にはたつでしょ

それで充分、うんうん

あとはお言葉に甘えさせてもらうね…)