Eno.30 グリンコット

■ メモ①

あー……。
記録か。
まあいいだろう。
ここであったことをメモって、無事生きて帰ったときの話のタネにでもしてやるかな。

そうだな。まずはコトの始まりからか。
あれは…………そうそう、立食パーティだ。
お偉いさんとの会合にクルーズ客船が使われたんだったな。
正直かったるかったがな。付き合いっつーやつだ。
で……突然船が揺れて、慌てて船外に出たハズだ。
大嵐だったな。ホントに突然だった。

結局クルーズ客船は転覆して、俺も慌てて船のヘリから海に跳んだけど……まァ次の瞬間には無人島に打ち上げられてたっつーわけだな。

でもまァ生きてるなんてツいてるぜ。
オマケに俺以外に生存者も居たときたもんだ。
全員女だが見た感じ俺よりよっぽどサバイバルできる連中ばかりだ。
俺が生きて帰るためにも、なるべく良い関係は築いておかないとな。

●シキ
俺のことを開口一番にドクロとか抜かす失礼なヤツだな。
オマケに品がねェ。
だがこんな状況で怖じ気つくヤツよかよっぽど信頼できることは確かだな。
何より気を遣う必要がねェから気が楽だ。

●イガラシ
得体は知れねェが腕は確かだな。
即行で罠を仕掛けたり火を焚いたりで場馴れしてやがる。
魔力とか呟いてたしひょっとしたら裏の人間なのかもな。
興味はあるが、知ったら俺消されねェかな。

●ピンク髪の女
無口だな。言葉は通じてるようだが喋れるかどうかも解らん。
手際がいいのは確かだろうがな。
しかし正直一人だと心配だ。心を開いてくれるにはどうしたら良いもんかね。


一時はどうなるかと思ったが生きる希望は湧いてきた。
必ず脱出してやるからな!