Eno.90 Adore

■ 筆跡の整ったメモ

アドーアがいない間に俺は砂浜の木陰でのんびりと過ごしていた。
ここに来て5日目、誰も気づいていないらしい。
いや、声に出してないだけかもしれないが…言及する者はいないようだ。

それはアドーアとして存在できている証拠で嬉しい気持ちもあるが、何処か引っかかる。

そうだ、一人のアドーアではなく、”二人で”一つのアドーアとして存在していたい。
そんな気持ちだ、きっとアドーアも同じ気持ちだろう。

俺と俺を見抜ける人が居たらきっと嬉しいと思う。

俺は、”俺達”は二人でないと生きられない。
片割れが居なければたちまち衰弱してしまう。

そんな難儀な人間だ。