Eno.478 リーフェ

■ 五日目:島の不思議

漂流五日目。
いつの間にか、森にも砂浜にも岩場にも、拠点の近くにまで島の仲間たちが設置した罠が置かれていた。
獲物がかかったという声もしばしば聞こえてくるし、きっともう飢える心配はそうそうしなくてもよさそうだ。

「ご飯に困らないのはいいことだけど……こんなにたくさんの動物、どこから来るんだろ?」



大規模な生態系を形作れるほど大きい島ではなく、見渡す限り水平線に他から渡って来られそうな島も見当たらない。考えてみれば、不思議な場所だった。
気がかりはもう一つある。ここに来た時に見た便箋に書かれていた内容が正しければ、ここは潮の満ち引きが激しく、島ごと沈んでしまうらしい。けれど、今のところそんな傾向はまるでない。船が通るかもしれない……ということも書かれていたが、それらしきものも見た記憶がなかった。

「うーん……船が来ることを祈るだけじゃまずいのかな。何か、この島を脱出するための方法を考えておいた方がいいのかも」



潮が満ち始めてからでは遅いのだ。もっと島を探索して、糸口を探したほうがいいかもしれない。

「イカダとか……いざという時はみんなが乗れなきゃダメだもんね。食べ物や水も積まなきゃだし、がんばるぞー!」