■ 漂流記録１０

そろそろこの島に漂着して１週間。

資源の枯渇が目立つようになってきたなー……ちょっとまずいかも知れない。
今日も誰かの優しさに生かされてるけど、本格的に脱出できるようにしておかないとね。
動かず体力を温存して、罠を仕掛けて、雨を集めて。
それでもやっぱり、喉も乾けばお腹は減る。
生きてれば当たり前の事なんだけど、集団遭難を支えきるだけの資源をこの島に求めるのは厳しそう、かな。

７日に１度、船が来るってあの便箋……ボトルメール？　には書いてあった。
漂流直前に船が来てたとして、たぶん明日には船が来る筈。
……あの便箋が正しければ、だけど。
でも現状、信じる以外に指針らしいものもないしなー。

魔力が使えるか、最低でも魔術が使えれば、脱出ぐらいは簡単なのにー！
趣味：異世界旅行を舐めるなー！？
縁を辿って世界単位の迷子をお届けするのもバッチコーイなのにー！？
もー！　何でこんな時に限って！　いらない時は余計な事ばっかりするのにー！
ほんっっっと！！
神様のスキルとか碌なもんじゃない！
やっぱり本神を復活させてからぶん殴っとくんだったかな！？

はー……まぁ言っても仕方ないんだけどさー……。
とりあえずイカダは作っておかないとなー。
島が沈むって言うのも、信じにくいけど本当の事だと思っておいたほうがいいし。
もしかしたら、島が沈むタイミングで、外の世界と繋がるかも知れないし。
外の世界と繋がったら、魔法も使えるようになるかもしれないし。
魔法さえ使えれば、本人の「縁」を辿って、全員元の世界に帰してあげられる。
どんなに魔法や魔力が認知されてない世界であろうと、それは大丈夫。
……宇宙人は流石にちょっと初めて会うから不明点が多いけど、まぁたぶん行ける筈。

帰るなら、全員で。
少なくとも、この手の届く範囲ぐらいは何とでも出来ないと……まほうつかいは、名乗れないからね。