Eno.184 トーゴ=F・ソーヤー

■ TG-14 6日目夜

ミナミとゼーレが仲良さそうに遊んでいるのを見ると、癒される。
ミナミはまだまだ若いし、ゼーレは幼いし、あの子らには輝かしい未来がある。

……なんてことを考えちまうのは、おっさんになってる証拠かもな。

明日で1週間だ。2人と過ごすのは楽しいし、生活に余裕もかなりあるが、サバイバルであることを忘れてはいない。
定期的に罠を確認して、捕らえた動物を捌いて焼いて、時間が余れば森を探索し、薪を集め、海に出て水を汲む。
ここ数日はずっとその繰り返しだ。

一応洗ってはいるし、最近は作業中は脱ぐようにしているのだが……コートが血腥くなっているかもしれない。
それでも、汚れ仕事は俺が請け負うべきだと思うんだ……
……というのは、成長を妨げるエゴだろうか?


──


相棒は本当に強かった。俺たちは注目を集めた。
……組合(ギルド)が腐っていることも知った。
それをひっくり返そうとする奴がいることも知って、手を取った。それが上の奴らに知れた。

俺と相棒は上に殺されかけた。嵌められた。
大型パーティ組んで戦うような魔獣と、デュオで戦うハメになった。

死ぬ気で戦った。死ぬかと思った。でも絶対死にたくなんかなかった。必死だった。
相棒は本当に強くて、ほぼ一人で渡り合えていた。けれど、ジリ貧で、いつ強打を受けるかわからなくて。俺はほんの支援しかできなくて。

そしたら相棒が一言だけ、「10秒作れ」ってさ。
信じて、全力を投じたよ。戦うことに関して、相棒が間違うことは絶対になかったから。
慣れない近接戦闘をして、内臓が焼けて血を吐くくらい無理に魔術を行使して、可能な限りのデバフをかけた。

耐えて、耐えて、避けきれなくて、鉤爪を受けて、身体が裂けた。
ああ、死ぬかも、って思ったのが、永遠に近いちょうど10秒。

入れ替わるように躍り出た相棒は、慣れない魔術を手に纏わせて。
……『前例もなく、使いようがない』って自分で言ってた、火薬の魔術。




自爆特攻を仕掛ける気なら先に言ってくれ。