■ 少年の記憶──10(6DAY)
──どのくらい時がすぎたのか。
次に意識が戻り視界がはっきりすると状況は一変していた。
たぶん良い方向に。
だって怪我はすでに治っていたし、体温もすっかり戻っていた。
温かな日差しがキラキラと木々の間から降り注ぐ森の中に横たわっていたようだ。
『未知の島』にいることはかわりなかったけど。
どうやら帰れないのは夢ではなかったらしい。
すでに島の中でおかしな事がたくさん起こっていたから、もう慣れてしまって驚きはなかった。
体は自由に自力で動けるようになっているのだからそれで十分だろう。
帰れないならその方法を探せばいいんだ。諦めるわけもない。
不自由なのは▓だけ。
それからは一人であっちこっち島中を奔走した。
時たま面白そうなものを見つけると寄り道したりもしたけど、目標は見失わなかった。
そんな中で、あいつを見つけた。
▚▜だ。森の中で倒れてた。
……んん?名前はなんだったか。顔もあやふやだ。
頭の中にモザイクがかかってるみたいに朧気にしか思い出せない。もどかしいな。
でも知ってる。わかる。
ま、そいつ▚▜をオレが助けてやったんだ。えっへん。
▚▜は、だ~~いぶ"バカやろう"な少年だった。
バカなわがままを言う変なやつで、オレはバカバカいいまくってやった。
だってオレには理解できない事をしようとするバカだったから。
けど不思議と一緒にいて居心地は悪くなかった。
これからもっといろんな話もいっぱいして、島の中で見つけた面白いものを見せてやろうって思ってた。
バカな事を考えないで済むようにオレが引っ張りまわしてやろうってさ。
▚▜は消えた。あっけなく居なくなった。
森の中、あの木の下で。
でもオレはその場にいたわけじゃない。
ただその場所に連れていってもらい教えてもらっただけ。
『ここに』と。
それを教えてくれたのはだれだったっけ……えーと。んーと。
そうそう、▛▚▘だ。