Eno.194 ルガD

■ 団欒に響くアイドルの歌声

「アイドルは元気を与えるのがお仕事です」



この島は活力にあふれています。
資源は少なくても、皆さん思い思いのものを作ってお披露目したり……
サメと戯れてみたり、それはもう息をつく暇もありません。

「"裏方《わたし》"のお仕事は、彼女達を撮ってお届けすることです」



ユウリさんを推してくださる八尋さんは、瑠璃子さんと良い雰囲気ですし、
ナンナさんとシスターさんはいつも元気に遊んでいます。
幸村さんはキノコでガンギマリながら石像を作られてましたし、
月蝕さんもクールなようであの奇妙なノリに乗りまくっています。

「私はお仕事できているでしょうか」



チックさんもアルワさんも八十子さんもロボットさんも、みんな精力的に活動されています。

ユウリさんはいつもそんな彼らを鼓舞し、
物理的にも、精神的にも尽くしているように見えます。
彼女の歌声は八尋さんを掴み、
私の事を散々隠し撮り魔扱いしていた白雨さんが
カメラを手に取るほどのものでした。

「できることなら、もっとお役に立ちたいです」



例えあれだけ苦労して仕掛けた罠が全て空振りし……
いよいよ資源の枯渇が深刻になったとしても……

それでも私は、自分の生還だけにしがみつく気持ちにはなれないのです。
いざという時がくれば、怯えて泣いてしまうくらい臆病なくせに。