Eno.75 エル

■ ドラム缶ってすごい

 

「……」



 いつの間にやらどんぶらこ。
 気付いたら見知らぬ島だった。

 日差しと砂浜。
 青い海は、相変わらず青いままで、とても綺麗だ。

???



 これはもしかして―――

遭難では?



 そうだと思う。たぶん。おそらく。きっとそう。

 こういう時はどうすれば?
 そうだ野外授業を思い出せ。
 いまが! 実践の! とき!!

エル
「実践が唐突すぎます~~
 たすけて先生~~~ぇ」

 教師を呼んでも教師はいない。
 しかし、どうにかしなければどうにもならない。
 このまま天日干しになるわけにも、いかない。

エル
「うぅ…… よし!切り替えていこう!」

 ぺしぺしと頬を軽く叩く。


「だいじょうぶ!なんとかなる!がんばれ自分!」




 己を鼓舞して、少女は島の探索を始めた。



「……ドラム缶って、すごいなぁ」



 自分をこの島まで運んだドラム缶を大事にしようとそう思った。