Eno.224 ナンナ•セファレイエ

■ ついに……

島の食料が尽きつつあるらしい。
ずっとその兆候はあったけれど、今日は特に酷いわね。
今までは釣りや素潜りでなーんにもとれなくなっちゃうってのは聞いてたけど罠も全滅だなんて……。

確か……今日で6日目だ。
太陽が沈んだ回数から計算すると大体そのくらいだと思う。
そしてあの手紙に書いてあるのが本当に正しいなら明日くらいに船が通りかかるはず。
浜辺に目印になる石像は建てた。
救援を送るためのメッセージボトルも作った。
もし泳いで脱出しないといけなくなった時のために、体調もしっかり整えている。
救急箱も作った!
ええ、イカダで渡れない海だろうと、泳ぎきってやるつもりよ。
あたしはあたし自身をいつだって信じている。
どんな状況だって、決して諦めたりしない。
ええ、あたしは頭が良くないわ。
考えることは得意じゃない。
勉強なんて大嫌い。
あたしは目の前しか見えてない。
──だって、よそ見している時間なんてあたしにはないから。

あたしはおそらく、3人の中では一番早く死ぬ。
あたしの身体は丈夫に見えてあまりに脆い。
暴発の度に命が削られていることは、頭では分かっている……考えないようにしているだけで。
だからあたしにくよくよ考えて足を止めてる時間なんてないの。
わからない頭であれこれ考えて足を止めるより、この身体を動かして答えを見つけた方が早い。

どんな困難でも、打ち抜いてみせる。
剣がなくてもこの拳で、この足で、この体で。
それがあたし──ナンナ•セファレイエなんだから。