Eno.296 ジェオルドム

■ 故郷の味

島の食糧が少しずつ減っている。

森できのみや野草すら見つからなくなり、素潜りしても海藻すら拾えない。事実なのでしょう。

ならば、なるべく動かず胃や喉の消耗を抑え、過ごすのがよいでしょう。

しかし、すると気になるのは彼女。エリオット殿……によく似た(※文字が震えている。このドワーフ、嘘を吐くのが下手すぎるようだ)ポニーテールのエルフの女性。
彼女は皆と交わることを是とせず、島で生き抜いている模様。この食糧難、他の皆と水や糧を分かち合わず乗り切るのは困難でしょうに。

余計なお世話と知りつつ、私は眠っている彼女のそばに、我が故郷の味を再現した料理を置いて去りました。本場のアレは臨死体験をしましたが()この島の材料ではちゃんと食味に耐えうる料理に仕上がったようです。

これで彼女が生き延びてくれれば良いのですが。