Eno.155 Иван А. Гладский

■ 備忘録-ぐらつき-

木を伐っていると、家族のことを思い出す。
Гладскийの家は内陸山間部の田舎にあり、僕は酒と煙草と家族を愛しつつ樵で生計を立てる父親と、世話焼きで料理上手な恰幅のいい母親との間に生まれた。
3年後に聡明ながら物静かで大人しい妹が生まれ、それからしばらくは家族4人平穏無事に過ごし続けた。
たびたび起きていた事件と言えばせいぜい父親の禁煙失敗と母親のダイエット失敗ぐらいなもので、傍目に見ても田舎の平和な仲良し家族だった……と思っている。

しかし、そんな日常は小さなきっかけであっさり崩れ落ちることとなった。
妹が、外出先で正体不明の寄生生物に食われたのだ。
意識は残っている、ちゃんと記憶もある。傍目には左肩から黒い腕が増えたぐらいで、それ以上の変化もない。
しかしその一方でたびたび元の彼女とは思えないほど凶悪で粗暴な一面を見せつけるようになってしまった。暴れはじめるとほぼ止まらず、おまけに不定期のため家族全員がまるで心休まらない。

妹本人も含めた4人で、その対処法を探し求めた。
僕はネット上のデータから類似した事例を探し、両親は妹を連れて肉体と精神のケアを重点に足を使い探し回る。
全ては、妹に寄生する何かを除去するために。

しかし、それがさらなる悲劇の呼び水となったのである。
せめて全員でまとまって行動していれば、あそこまで悪化はしなかったのではないかと今でも悔やむばかりだ。