Eno.194 ルガD

■ 聳え立つ石像群

「手を尽くせば尽くすほど、恐ろしくなる時があります」



森以外の食料が軒並み尽き、罠頼りになった今、
最悪私は水と即席医療キットのみで生きながらえる道さえ模索しつつあります。
常に空腹でも水分と適切な処置さえ施せば
意外と長持ちする事は、救急外来の取材をした時に学びましたから。

「それでももし、可能性がなかったとしたら」



救助が来なければ、それでも運命は変わりません。
本当は大事にしなければならない金属材を用いて石像なんて作ってる暇はないのです。

それでも……

「白雨さんが残そうとしているものを見ると……」



私達がこの島で笑って過ごしていた。
その事実をなんでもいいから残しておきたくて……
一種の現実逃避ってやつなんでしょうね。
オルーナジュさんはいざという時自分を捌いて食べてくれと言いました。

あの時は笑ってごまかしましたが……

「そうしなければならない時が来るのでしょうか」