Eno.420 レイ

■ 無題

落ち葉を集めて作った、(地面で寝るよりかは)快適でふかふかの寝床。
雨が降るとぐちゃぐちゃになるので定期的に葉っぱを入れ替えてはいるものの、随分と居心地は良くなった。
布切れに落ち葉を詰めたら、クッション代わりになったのも助かる発見だった。
それに、寝床の側に並べたおもちゃのアヒルも、拾ったボールペンで少し表情をつけてやったらより愛着が増した。

この島に来て、おおよそ1週間が経つ頃だ。
当初よりはだいぶ慣れたし、色々なことを考える余裕も出てきた。

……特に。
まだ少し怖くて、人を避けて行動しているこんな自分に……
様々な物資を差し入れてくれる"オトナの人たち"には、助けられている。
いつかちゃんと、お礼を言わないと……とは、思っている。

思っては……いる……。
勇気が少し、足りないだけで……。

そんなことを考えながら歩いていると、上の空だったせいか、それとも連日の雨のせいか。
地面にある凹みに気がつかず、足元を取られて派手に転倒してしまった。

「わ、あっ……!!」



泥濘んだ地面に足を取られてなかなか立ち上がれないし、ころんで擦りむいた膝が痛い。
手も足も服も泥まみれになって、怪我をして、なんだか惨めな気持ちになって目に涙が滲む。

「……」



傷は、水で洗い流して。
泥も……ちゃんとした洗濯はできないけど、水で流して、乾かさないと。
目元を拭いながら、立ち上がる。
思ったよりも疲弊した身体を引き摺って、また"いつもの寝床"へと戻るのだった。

(探索中の初アクシデント遭遇)