Eno.47 冬月舞

■ 新しいメモ(3)1/2

はっくんからデートの誘いがあった。
今晩、砂浜で、二人きりで。
いいもの見せてあげるって言われた。

びっくりした。
正直、はっくんのことは気になってる。
というか、かなり好きになりかけてる……と思う。たぶん。

カッコいいし、ノリもいいし、一緒にいると楽しくなる。それって結構大事じゃない?
それでね、ああ見えて優しいし、気遣ってもくれてる……と思う。
そりゃあさ、たまに「バカだなぁ」と思うこともあるけど、それさえ愛おしいって言うか……ひょっとして、これが好きってことなのかな!?
分かんない。

デートっていうけど、準備期間がほとんどない。
服のレパートリーもないから、お洒落も何もない。でもなんとか可愛いと思ってもらいたくて、シャツを結んでお腹出して、袖捲って、半水着っぽくアレンジしてみた。
かなり露出が激しくなっちゃった……でも、水着に比べたら全然だよね。



夜。
はっくんと時間をずらして待ち合わせ場所へ向かう。
随分待たせてしまったと思うけれど、今日のはっくんはすごい紳士。
待たされたなんておくびにも出さない。

例のアレンジ、はっくんに見せたら叱られた。
そんな恰好しちゃダメだって真剣な顔で言われた。

あのね、ウチね、嬉しかったんだ。
ウチのこと本当に大切に思ってくれてるのかな、って思ったの。

結局、露出は少し控えめにすることにした。


ここから先の話は、正直今でも夢か現か分かってない。
もしかしたら夢だったのかな、って思う。
それくらい、非現実的で、説明の付かない出来事だった。