Eno.190 贖罪のインディゴ

■ DAY 6





毎晩、岩場に足を運ぶことにしていた。
ふたりだけの秘密のやり方で、ないしょのやりとりをした。
たった4人だけの小さな島で秘密にする必要があったのかはわからないけれど。

もう少ししたら、きっと街への船がこの島の近くを通る。
そしたら、ガリョウもミケもおうちに帰って、いつもどおりの生活に戻るんだろな。
もしかして、おばけにも帰る場所があるのかな?

私は、船には乗らないって決めてる。
このまま、ここから最果てに行く。


「ひとりで?」


「……ひとりで。」



みんなに挨拶しなきゃ。
それとも、みんなが船で帰る時に見送ってからにしようかな。

みんなでカンパイしようと思ってたくさん集めた雨、なんだかちょっと濁ってきた。
ミケにあげようと思ってたフライパン、拠点に置いておけばよかったかも。
そういえば変なカメラを拾ったから、集合写真も撮りたいな。
撮るならおばけが作ったでっかい芸術の前がいいな!

私、よく考えてみたら……
この島でみんなとやりたいこと、まだまだいっぱいあるみたい。
もし、明日もう船が来ちゃったらどうしよう?


だから、私は今日も祈ることにする。



「明日、雨が降りますように」


「あさっても、そのさきも、降り続きますように」





「この島が沈んでも、お船がずっと来ませんように!」





私は雨が好き。

雨が降れば、海は荒れて船は来ない。
雨が降れば、この島はまたひとつ沈む。
雨が降れば、みんな屋根の下に集まってくれる。

きっとね。