■ 夏の裏側 ②
「異能の発現、と断定するには調べが足りなかったのですが…」
病院に運び込まれたシアの検査を担当した医師が言う。
「異常なまでに飛び上がったという証言、側頭部の打ち傷で出来た大きなコブと、対称になるように反対側からも出てきたコブ。そしてスキャンにかけてみても、モヤがかかったみたいで何も出てこない両コブの中身……
もしかして、と思わずにはいられませんでした。この街でも、異能持ちが少しずつは出てきていた時期ですので。」
検査結果を手に、メッセンジャーアプリを繋げる。
通信の相手は異能の本場、イバラシティの医師仲間。
「こちらで処置をするには、あまりに事例がありませんでした。
異能の発動箇所と思しき場所で、処置が必要な患部でもある。
どう手を付けていいか分からず、途方に暮れていました。」
そこに届く助け舟。医師仲間からの返信。