Eno.397 流海做棲

■ 輝ける男の記録 11

海の女神は俺を……正確には俺達を、か。どうしても手放したくないらしい。

リーダー……前衛的なファッションセンスを持つ子が、いかだで脱出を試みた。
だが心を奮い起たせての航海は、あっという間に終わりを告げる事となる。
そう、波に流されて砂浜へと帰ってきたんだ。
海底に沈まず戻って来れたのがせめてもの救いだね。

海流が特殊なのかな?
となるとやっぱり船が通り掛かるまで待つしかないんだろう。
まったく、困った女神様だ。

食糧はまだ暫く持つ。
けど魚が減っている気がする。
以前は俺の美しさに惹かれてあちらからやって来たくらいなのに、今日はまるで見付けられなかった。
大自然と共に在る俺が美しすぎて照れてるのか?

「手に入らないからこそ輝くものもあるんだよ、夜空の星々や俺のように……ね。」