■ 漂流7日目

漂流してから7日目。遺されていたボトルメールの
記述を信じるなら、約7日毎に船が来る。もうすぐ
助けが来るはずだという期待と、もう7日も助けが
来ていないという疑念が心の中でせめぎ合っている。

……島が沈んだ場合について、フェリくんと少し
お話した。船が訪れる周期を把握している点から、
前漂流者は少なくともその周期数回分……最低でも
2週間、恐らくそれ以上の期間この島に滞在したと
いう見解で一致。

その上でフェリくんは、前漂流者が複数人居たと
仮定し、数回に分けて救助されたという仮説を
立てた。それが島に長く留まった理由である、と。
希望の持てる予想だ。

……私の想像はそれと異なっている。

『七日ほどに一度、この辺りには船が通ることが
　あります。近海を通る彼らに助けを求めることが
　できれば、きっと助かるかもしれません』

「助かる『かもしれない』。助かる『はず』でも
　助かる『だろう』でもなく。この手記を書いた
　人物は、書いた時点で救助を約束されていない。
　経験則でなく、希望として綴っている」

「それに本当に希望がないのなら……希望がないのに、
　希望を持ってなんて……そんな意地悪な手紙かくなんて
　……やです。だから、希望はあるんだと思ってます。
　チャンスはあって、それをものにできるかは……
　僕ら次第って」

「そうだね、そういう考え方もある」

「……でも」

「自分がダメだったから、せめて次の人には。
　そういう気持ちだって、あるかもしれないよ」