Eno.128 ███

■ ゼーレ

僕はここにいます
僕はここにいました

僕たちは ここに


おかあさん 僕たちを産もうとしてくれて ありがとうございます。
おとうさん 僕たちを祝福してくれて ありがとうございます。

だから だから 僕たちは

”ここ”を出て、この世界の何処かに産まれてきます。


「ミナミさん、トーゴおにいさん…




「僕は、僕は、幸せです!!」






祝福されたのに
産まれて来られなかった水子の魂の集合体、それが僕「ゼーレ」です

神様にその記憶と引き換えに仮初の人間としての生を一時的に受けました
この世界はたくさんのキラキラで輝いて見えます
でもそれはほんの一握りの事で、きっとキラキラしていないものもあるのだけど

僕は、この世界が大好きです!
僕は、ミナミさんやトーゴおにいさんが生きているこの世界に産まれたいです。
ううん、二人に出会えないとしても、僕は

僕は この世界が大好きなんです!