正直がっかりしたんスよね。この島で幽霊を見てしまった時には。

結局ここは……俺にとって本当の癒しになるような、そ～いう……、死んだ後のしがらみから完全に逃れられる聖域みたいな島……ってワケではなく。あらゆるもんを呼ぶだけ呼んで、そのまま浮き沈みする海なのかもなァ……。……という辺りまで思い至って、勝手に癒しの夢を打ち砕かれたりして。

だから、もう、どこで死のうが、そりゃあ結果は同じなんスよねェ。

どうしても、死んでから彷徨う羽目になる人ってのが出てきてしまう。

まァ、しかし？　ここにはそういうのに詳しくて、よく話せるケイさんも居ゃーすし。一人で勝手に見えちゃいけない人を見て、これは自分の脳に異常があるんじゃねーか……とか、先祖代々隔世遺伝してきた祖母からの遺伝病を疑ったり……とか、そういう余計な心配はしなくて済むのがいっスね。

……それに、ここで会ったのは確実に、俺が勝手に見ているだけの、現実じゃない、誰にも証明できない存在……ではなかった。はず。たぶん本当に、ユズさんの娘さんだった……はず。

……彼女の意に沿わず、ユズさんに伝えちゃって良かったんスかね？

……俺のせいで、あの子が本当にどこにも行けなくなってしまったらど～しよ……。

……そういう事態や、もっと不幸な事態も十二分に在り得るのがわかってて、修行もろくにしてない分際で手を出したのは俺っスからね。出来ることはやったけど、色々覚悟しとかないといけねーな。

……もし無事に都内に帰れたら、一度そっから地元帰って真面目に修行すっかなァ……。けどこの仕事、真面目にやるのもしんどいんスよねェ……。