Eno.29 ハク・エセルバート

■ 3日目?『Lust』




正直に言うと、あの夜はノリで誘っただけだった。
俗に言う“おもしれー女”とか、かわいい反応するじゃん?とか。
本当にその程度の認識だった。


ポチだとかシロだとか、ネーミングセンスも最悪だし、押しが強すぎるし、時折意味わかんない言葉でバカにしてくるし。

でも、なんでだろうな。
デートなんて言われて、柄にもなく心臓が波打った気がしたんだ。


嬉しくて調子に乗って、いつものようにカッコつけて、俺が飾り立てた世界【幻覚】を君に見てもらった。



…今思えばさ。
真っ暗な砂浜で初めて君の綺麗な瞳を見た時から、もう恋に落ちてたんじゃないかな。


だからさ。
いつもは素直じゃない君が、カッコつけた嘘だらけの俺の手をとって、“好きだよ”って言ってくれた時、すごく嬉しかったんだ。


…なんてさ。今は恥ずかしくて虚勢張りの俺だから、言えないけど、いつかきっと伝えてみせるよ。
俺が、抱えている秘密も、いつかきっと。




-3日目? 日記終-




…ああ。いつまでもこの日々が続きますように。
この島を出ても、君が卒業ってのをしても、一緒に居られますように。