Eno.96 プラシオ

■ 海へと投げた、

 
手紙には、丁寧な文字でこう書かれていた。

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アイオ、ヘリオ。
急にいなくなってごめんね。
もしかしたら、もう気にしていないかもしれないけれど。


ぼくは今、知らない島にいる。
知らない島で、知らなかった人達と一緒に毎日生きている。
…それももうすぐおしまいなんだけどね。


それでね、ぼく、決めたんだ。
他の世界に行って、そこで生きるって。

一緒にいる人達がいる、って言ったでしょう?
その中の1人についていくことにしたんです。
そこでなら、ぼくはちゃんと変われる気がするから。

…だから、心配しないで。
いつかまた、ぼくが大人になったら会いに行くから。

それまで待ってて。

                    プラシオより

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子供はこの手紙を小さな瓶の中に入れて、広い海へと流した。
届けば良いな、と願いながら。