Eno.186 幻夢の囚われ少年

■ 少年の記憶──14(7DAY)

 
──『がんばりの証』


   『がんばった傷は勲章』──






少女とそんなやり取りをした日もあった。


そう、オレの胸の傷は"勲章"なんだ。
自分で自分に贈った。


がんばった証。


だからその道を選んだことに悔いはないに決まってる。

それに、これで全部が終わりだなんて思ってもいない。
オレはきっとまた目覚める。


あの『未知の島』で。


ココも十分おかしな島で面白いし探検のし甲斐もあるけどさ。
でも違うんだ。

肉体の死を迎えても、魂が囚われ何処にも行けなくなっているから。
帰るためには向こうでがんばらないとな。





『ゆうれい島』に漂着したのは、たぶん魂の欠片。
そのせいで記憶が曖昧で、頭の中がピースの欠けたパズルみたいになっていたんだろうな。

なんで欠片が抜け出せたのかは首を捻るとこだけど、何となくこうじゃないかなって思うことはある。






▛▚▘が遺してくれた星の形をした黄色の花束。






あれがほんの少しだけ、囚われの魂の欠片を解放してくれたんだ。
そんな気がする。


腹は減るし喉は乾くし暑いし寒いし、サバイバル生活はもう懲り懲りだぜ。

でも、おかげでミコにミケ、それにおばけにも会えた。
『あの世もどきの島』での日々は楽しかったな。




この島は、もしかしたら『現世』と『幽世』の狭間にあるのかもしれない。