■ 09.Birth
生まれて、生まれて、生きて、生きて、
喜び怒り哀しみ楽しむ。
生きているは楽しいね。とても、とても素敵なことだね。
生まれて、生まれて、生きて、生きて、
衣をまといなにかを食べてどこかに住む。
生きているは忙しいね。とても、とても素敵なことだね。
生まれて、生まれて、生きて、生きて、生きていく。
もっと生きて、さらに生きて、それでも生きて、最後まで生きて、そして眠る。
それはとても素敵なことだね。
生きている命がまた生まれることはない。生きているならもう生まれてきているから。
生まれていない命が生きているをすることはない。生きているためには生まれてくる必要があるから。
生まれるの前に生きているを始めてしまった僕は、もう生まれることはできない。
Never─
ネバース
─Birth
それが僕を"僕"として認識した僕の名前だ。
生まれていない僕は本当なら生きているができない。
何だろうね、何だろうね。僕は何と何の間から生まれてくるはずだったんだろうね。
僕は、僕は、生きているが特別だったから。生まれるの前に生きているを始めたのに生きているができていることが奇跡だったから。
この島と一緒に沈もうと思っていた。きっと生まれるをしていない僕は、苦しくないから。
でもね、でもね。
生きているは楽しいね。生きているは素敵だね。
僕は生きているを続けることにした。