Eno.21 名もなきおばけっぽいの

■ おばけ日記3

おばけはこの島でいろいろなものを作った。

まずはお水。初めて作ったお水はとても美味しかった。
次に焼き魚。火であぶるだけ。でもこれがお料理の第一歩。

次に窯。元からひとつあったのだけど、折角なのでもっと欲しいと思って作った。
その後も窯はどんどん増えて、今は四つくらいあるのかな?
これでたくさん窯が使えるというもの。
だけど窯をどうやって使うのかは、ついぞ分からなかった。

次に石像。タイトルは“島にいるわれわれ”。
おばけと、ミコと、ミケと、ガリョウ。
島で出会った子たちをモデルに作ったのだ。
これ以上ない出来栄え。それも当然。
みんなをモデルにした像の出来栄えが悪いわけがない。

それからこっそり貝殻のネックレス。
お別れの前にみんなにあげようと思って、本当は三つ作った。
だけどミコに一つ渡したあと、
とたんに胸の中が苦しくなって、ぎゅーっと痛くて、
なんだか堪らなくなってしまった。
だから残り二つあるけれど、ガリョウやミケに渡す元気はちょっと出ない。
きっと二人に渡すときも同じくらい苦しくなるから。