Eno.47 冬月舞

■ 新しいメモ(7)

この島に来て、もう一週間にもなる。
まだ船は通りがからない。

一週間に一度、船が通りがかるというのは、誰かが書いたかも知れない古びた便箋の情報だ。
そればかり当てにするのは、良くないのかも知れない。

とはいえ、他に希望もない。
相変わらずスマホの電波は立たないし、篝火の煙を誰かが見つけてくれるのを祈るだけ。

このまま、この日々が続けばいいのに、と思わなくはないけれど、
そんなのが無理なことも分かってる。

水は何とかなってるけど、食料は明らかに栄養が偏ってる。
本格的な病気になったり、大けがを負ったら、到底治しきれないだろう。
釣れる魚の数も減って来てる気がする。

常に綱渡りをしてるってこと、忘れないようにしなくちゃいけない。



ウチは帰ることに不安はない。
けれど、他の皆はどうだろう。

くっしーは多分大丈夫。想い人のところへ戻るのだろう。
彼はどこまでも実直なナイト様だ。
言わないけれど、他にイイ人見つければいいのに、って思う。

プラたんは……どうするんだろう。
そもそも彼女(?)は自分のこともよく分かってないみたいだったし……。
来る世界がないなら、ウチらの世界に来ればいいと思うケド。

リーちんも大丈夫だろう。何せ、プロポーズしたい相手がいるというのだから。
何なら、誰よりも早く帰りたがってるんじゃないかな。
んふふ、相手の女性がどんな人なのか、一目見たかったなあ。

ワンちゃんは、リーちんと一緒に行くのかな。
それとも、元いた世界(多分くっしーやウチと同じ世界だ)へ戻るのだろうか。
ワンちゃんさえ良ければ、ウチで引き取っても良いな、って思ってる。
くっしーもそう思ってるかも。

ななち? ななちは可愛い。インスタ始めたら秒でバズりそう~。
最近調子悪そうだけど、無事に一緒に帰れるといいなあ。

はっくん。
正直、はっくんが何処から来たのか分かんないし、なんで魔法が使えるのかも分かんない。
たぶん本人も知らないんだから、知りようもない。
だから、なんでもいいんだ。だってさ、過去に何があったって、どういう生い立ちだって、ウチには関係ないじゃん?
ウチが好きになったのは、この島で一緒に生きたはっくんだから。
そりゃ、知りたくないって言ったらウソになるけれど、そんなのは些細なことなんだよ。
ただ、隣にいてくれればいいの。それでずっと一緒に生きてくれたらいい。
ウチの愛全部をあげるから、はっくんの愛全部が欲しいの。
それだけ……それだけっていうには、求めすぎ?
いいじゃんね、それくらい。









あ、





ねえ、あれって