Eno.170 アルザス・リースリング

■ シーエルフのお見送り

情報が正しければ、そろそろ船が来る頃だ。

思い返せば、この異世界転移(漂流じゃない。決して漂流じゃない)はとても貴重な体験だったと思う。この島の者は非常に協力的で、お人よしな奴らばかりだった。それでこそこのような場でなければ和気あいあいとずっと何でもないやりとりをしていただろう。

……いや、和気あいあいとはずっとしていたな。
時には本当にくだらない話をして、時には助け合って。
そうして時には少し真面目な話をして。

普通なら食料の奪い合いだの、最悪殺人まで発展するが、ここではそんなものはいなかった。
それこそ無差別に、少し何かを抱えた人が集団で神隠しに遭って。
それぞれがそれぞれのままに、仲良く過ごして。

……なんというか。
最後まで、それぞれがそれぞれ『らしく』あったな、と思う。
きっとそれは、とても有意義で恵まれていたことだ。



さあ、船を待とう。
シーグラスのお守りと……
……なんかこの、ダサTと……

……増えた乳首を……持っ…………

なんなんだよお前らはよぉ!!!!