Eno.311 ミラ=カリオン

■ 終幕

我が名はミラ。ミラ=カリオン。

虚無を愛し、咎に包まれた、ヒトの神。
闇でできた、ヒトの神。


我はこの島暮らしで、人の姿を取り戻し、神に戻った。
ヒトは、愚かだ。くだらぬ迷信で、人の子を悲しませ、苦しみを産む。
そしてヒトは、豊かだ。なかなかに悪くない。優しきヒトもいて、悪しきヒトもいる。
誰かを愛するもの。そうでないもの。
誰かを守りたいもの。そうでないもの。
そして、悲しませたくないと願うもの。笑っていて欲しいと願うもの。我が知ったヒトは、皆暖かな温もりを胸に抱いていた。


我が名はミラ。ミラ=カリオン。

ヒトの温もりを知り、ヒトを愛することにした───ヒトのためのものになりし神だ。