Eno.12 天峰ひらり

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『――山は、いろんなものを惑わすっス。
だから、常に"自分の軸"だけは持っておくっスよ』


あの時言われたそんな事を、ずっと胸にもって。
それからひたむきに頑張ってはいた、けれど。

「やっぱり、あたしもまだまだですなあ。
きっと、"あの人"ならこの島でももっとやれてたんだろうなあ」


そんなことを海へとぼやいて、船に乗りこみ。

「――さ、帰りましょーか!
山には登れなかったけど、もっと良い経験できたもんね!」