Eno.41 カーシー・バクスター

■ さよなら、『遭難者クラブ島』

僕はここに戻ってこないように気を付けないといけない。
だって、ここに来ちゃうってことは、
またこの世界に来てしまうようなヘマをしちゃったってことだから。
そんなの、みんなにしめしがつかないでしょ?
だから、『遭難者クラブ島』には『さよなら』をしなきゃいけない。
砂浜にも、岩場にも、拠点にも、森林にも。
『またね』じゃなくて、『さよなら』を。

僕はこの島が好き。
けど、二度と戻ってこないなら、
この島の出来事は全部思い出になってしまう。

だから、みんなには『またね』を言う。
みんなといれば、この島のことも昨日のことのように思い出せる気がする。
もちろん、また会いたいって意味もあるし……
『元気でね』って意味だって、もちろんある。
元気でいてくれなきゃ許さないんだから。

みんなはきっと、違う世界に帰っていくだろう。
でも、会えないとは思ってない。
救難船がここに来られたように、世界を渡る術はあるはず。
それを見つけ出せれば、きっと会えるんじゃないかな。
こんなシマがあるぐらいなんだから、
そういう魔法だってめずらしくないはず。
帰ったらいっぱい探してみるんだ!


アイジロから『サバイバルがんばったで賞』をもらった!
メダルみたいですごいカッコイイ。
アイジロは貝を集めてたけど、これに使うんだったんだね。
指輪を貝に通してるのがおしゃれ。
きちんと大事なものとしてしまっておかないと!


本当にいろいろなことがある一週間だった。
いままで過ごしたどんな一週間も、
同じぐらい濃い一週間はそんなにないだろう。
知らない人でしかなかったみんなと出会って、話して、助け合って。
少しずつ・ちょっとずつなにかをわかって、
それでもわからないことはあって……
それはこれから見つけていくんだ。

はー、帰ったらやることいっぱいあるなー!
異世界を渡る方法を見つけて、パンを焼いて、
もらったネックレスは大事にしまうでしょ。
ボーイスカウトの体験に行って勉強しなきゃいけないし、
なにより心配されて怒られなきゃいけないし……。

いまでもお母さんとお父さんに会いたいって気持ちはウソじゃない。
僕は帰るんだ。


みんなどうか元気でね。
僕もげんきでやるから、ね。