Eno.42 歌代 あすか

■ 最終日

巡航船が迎えに来てくれた。
どうやら僕たちは助かったらしい。

そうなると、一週間ほど共に過ごしたこの島と。
……この島のメンバーともお別れなわけだ。

帰れるのは嬉しいけど、少しだけ名残惜しくなったりして。
目を閉じて、思い出を振り返ってみたくなる。





えくねくんに得体の知れないキノコを食べさせられたりとか。



砂介さんと安眠する方法について話し合ったりとか。



お嬢と他愛のない話をして、じゃれあったりとか。



冰さんが抱えてきた能力や悩みの話をしてくれたりとか。



――名前も知らないひとに、思いを馳せてみたりだとか。



ホームシックになったりもしたけど、
瞼の裏にはいろんな光景が浮かんでくる。

普段は関わらないような人たちと、
普段はしないような経験をたくさんした。

濃厚な夏休みだったな。



帰ったら後輩に、この島での出来事を自慢しちゃおう。
良い友達ができた……って。