Eno.47 冬月舞

■ 新しいメモ(8)

船が来た。
どうやらウチらは海の藻屑になる前に、脱出することができたみたい。

島暮らしに慣れちゃったみたいで、日常に戻ることに少し抵抗があった。
でもいつまでもこの島にいるわけにはいかないし、向こうではっくんと一緒に生きていくのは楽しみだ。

たくさんの物を得た。
それは目に見える物だったり、精神的な物だったり様々だけれど、少しは人間として成長できたかな、と思う。
それは、辛抱強さだとか、あり合わせのもので料理を作る腕だとか、絆の育み方だとか、そういうの。

そして何より、隣にはっくんが居るってことが嬉しいんだ。
ねぇ、これからきっと、島での出来事より遥かに大きく難しい壁が幾つも立ちはだかると思う。
でも心配なんかしてないよ。
はっくん一緒なら、どんな困難も乗り越えられる気がするんだよ。
根拠なんかないけどね、浮かれてるだけかも知れないけれど、そう思うんだ。

幸せになろう。
うんと幸せになって、はっくんも幸せにするんだ。


そうしたら胸を張って、未来でまた皆と会えるね。