■ エピローグ
いつの間にか…眠ってしまっていたらしい。
投げ出した足が波に触れる感触で目を覚ます。
目を開けると、今まさに朝日が昇ろうとしているところだった。
波…?
それほど波打ち際にいた記憶はない。つまり…
気のせいではない。
昨日の夜より、明らかに水位が上がっている。
いや、島が沈んでいるんだったっけ?
そんなことはどちらでもいい。
ついに『その時』が来てしまったのか。
覚悟は決めていたはずなのに。
焦りと絶望に顔をしかめたその時。
どこからか。誰かの声が聞こえた。
キョロキョロと辺りを見回すが、声の主は見当たらない。
耳をそばだて、声の方向を探ってみると…間違いない。海の方から声は聞こえてくる。
朝日でキラキラと光る海面に目を凝らすと、そう遠くないところに一隻の船と、そのうえで手を振る誰かの姿が見えた―――。