Eno.64 南藤 古那海

■ そうして……

私の、いや私達の島生活は……
便箋に有った通りに、救助の船が来て無事に救助され終わりを告げた。

船は【望み通りの世界】へと行く事が出来るらしく……
何人かは、元とは違う世界へと渡るようだ。

白……くろはちゃんも、ひよちゃんと一緒の世界に行くようで。
良かったね、くろはちゃん。

彦さんは、あえて元の世界へと戻って行くようだ。
今度は、きっと大丈夫だよ。


さて、私はと言うと元の世界へと戻った訳だが……
向こうでは時間がそれほど進んでいなかったらしく。

着ていた制服やスク水は、潮焼けやほつれでボロッちくなってるけど、無くなったと思っていたスーツケースはなぜか砂浜にあったので。
(あれだけ探して見つからなかったのに)

オキナワに無事戻り、他に見られないようこっそり救助船から降ろしてもらって……宿泊先のホテルに戻った所を先生に見つかり。
ちょっと説教はされたけれど、無事に合流できた。

とまあそんな感じで、私の島での漂流譚は……
こちらではニュースにも話題にもなる事も無く。
その後普通に修学旅行を終え、帰路に就いた。


……それから少し、時が経ったけれど。
みんな元気にしてるかな? 私は見ての通り元気だよ。

絵を描く筆を止めて、外の空を見上げた。



おしまい。