Eno.94 類川 夏

■ みんなで帰るよ!

待っていた船が着て、帰る準備のために荷物をまとめた。
まとめる荷物その一つ一つからその思い出が蘇る。

色々なこともあった。みんなで水を探して…食べ物を探して…木を探して…大変なこともあったけどそれ以上に楽しいこともいっぱいあった。

ひよりちゃんに尻尾を触らせてもらった。ふわふわでずっと触っていたい感触だった。
話の流れで水着を着ることになった…今思うとあの時あんなに触る必要はなかったと思う。
もらった薬を飲んだら耳と尻尾が生えた。そのとき毛づくろいをしてもらったね…結構恥ずかしかったけど、その……なんというか初めての感覚でした。大変なことにならなくてよかったです。

トゥルちゃんと一緒にお風呂に入った。
水が嫌いなトゥルちゃんをお風呂に入れるのは大変で…。初めは警戒して…怖がって…お風呂に近寄るのも嫌がっていたんだけど
ちょっとずつ慣らして、温かいお湯に触れる気持ちよさを分かってもらって、最後には一緒に湯船に入ることが出来た。
途中からだんだん慣れて身を任せてくれるようになって、笑顔を向けてくれたり抱き着いてくれるようになって…連れては行けないって心に決めた後も、やっぱりずっとこの子と一緒に居たいという気持ちは消えなかった。
島を出たら離れ離れになっちゃうけど、どこにいても元気で幸せになってほしいな…。

他のみんなともパーティをしたりお話ししたり、一緒に笑って生活して
予定になかったこの漂流先の毎日が楽しかったのはみんなのおかげです!
本当にありがとうございました!

お別れは少し…ううん。普通に寂しいけど…笑って、みんなで帰ろうね!
帰るまでが遭難です!!!

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帰ってから親とか友達にはいっぱいよかったって言われて…泣かれた。心配かけちゃったな…。
それからも少しだけ慌ただしい日々が続いたけど、今は島へ行く前と同じような日常に戻れてる。



ただ一つだけ……ただ一つだけ変化があるとすれば―――――。



ひよりちゃーーーん!!この耳と尻尾いつ消えるのおおおおお!!!!!