Eno.116 甘くてちいさなお姫様

■ 8:お願い

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大切なお姫様がいなくなった!


小さな甘い姫様がいる筈の船からは、姫様の甘い残り香だけ


お姫様を心待ちにしていた部族は、砂糖族の長に詰め寄ったが
長は顔色一つ変えずに追い返した。



17年 甘い蜜や果実だけで出来た姫様は 極上の味

その味を何度も堪能したいと思う程に…



だからこそ、以前にも楽しんだ後に

嫁いで来てない! と言い出す輩は居たのだ。



甘くて小さなお姫様は、確かに嫁入りした。
二度と帰ってくる事はないだろう。

砂糖族は 姫様が一族の役に立った事を大いに喜んだ。




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「そろそろ出航かしら…
水位が上がって、島が沈むってなんだか不思議ね」





ぐらり、と波に揺れる船上で見知った顔を見つければ
小走りで近付いた。

脅かすように「わっ!」と声を掛ければ、その手をとって


「ボブさんっ

着いたら、まずはどこに行くの?
ううん…行きたい所がある訳じゃないんだけど、楽しみだから気になったの

悪い遊びもだけど…楽しい遊びもしてみたいわ
あとね、色んなものも食べてみたいの」








「あのね、やってみたい事沢山あるの
ううん…ボブさんのお陰でたくさん出来たから、これから色んな事をたくさん教えてね」