Eno.122 赤劣化

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 どうやら俺は相当無茶しがちだと思われているようだ。
 心配性なのだろうとは思う。治安の悪いとこに住んでいる庶民は、お嬢サマにとって不安でしかないのだろう。

 きっと、檻に入れてしまった方が楽になりそうなくらいの。
 もっとも、あの心優しいお嬢サマがそんなことを考えるとは思わないけど。

 まぁ、それを差し引いて。
 きっと俺の戦い方を想像したのだろう。

 身を焼くのも厭わない炎は、俺を肯定してくれるように燃え上がり、俺を認めてくれるように烈火となる。

 “赤劣化は、ただ一人”
 それを知らしめるのは、この上ない喜びが湧き上がる。

 あぁ。勿論約束だ。
 無茶は程々に。

 生きて会いに行こう。

――――――

『先週、魔導クローンの適合率低下による魔物化が城石市白鳥にて発生しました。駆けつけた東京セキュリティー城石支社異能対策課により事態は鎮圧され、現在は警察に引き渡し詳しい経緯を調べているとのことです。

 しかしながら、対策課の警備員一人が魔物化によって引き起こされた濁流にのまれ、沖にまで流されてしまったとされ、現在も捜索が続けられております』

『失礼しました。今入ったニュースをお伝えします。
 先程お伝えしました警備員一人と思わしき人物が発見されました。
 現場は隣県の砂浜で、意図せず異界に渡っていたと証言しており詳しい状況等を調べております』

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 帰るなり事情聴取、身体検査、報告書作成……こうなると思って毎日記録を付けてて良かった。画像もあれば完璧だったと言われて結局何も楽になった気はしないけど。

「赤劣化が居なくなって大変だったんだよ?
 やっぱり早く生体データ取ればよかったとか、魔力石だけでも置いていけとか大騒ぎ」
 よく一緒に行動する一人、皮劣化がそう言う。

「まー……そうなるよな」
 期待はしてなかったがそういう話ばかりになる。希少性のある劣化は後続のクローン制作の為に様々なことを要求されるのだ。全て断っているから、彼らは死後勝手にやるつもりだったのだろう。

「ただ、今は少しでも休ませてくれよ。まーじで疲れたんだって」
 久しぶりのベッドから起き上がりたくない。毛布にくるまってゴロリと寝転がる。

「あ。赤劣化のクセに赤くないの付けてる」
 素足が出てたのであろう。皮劣化は人の足に付いていた物を勝手に摘み上げ、挙げ句足まで持ち上げようとする。

 足をバタつかせて抵抗し、ガサついた手から逃れる。 

「何それ? ねー何それ」
 執拗に聞いてくるのを無視して寝に入る。しばらくすれば皮劣化も飽きて自分の作業に戻っていったようだ。

 約束事は内緒であるべきだ。